青虫/木屋 亞万
くれていました。一度皮を食い破りさえすれば、プチプチとした果汁の粒がいくつもいくつも顔の前ではじけて、ジュースのシャワーの中を進んでいくような気分がしました。大きなオレンジを五つ食べたというと、たくさん食べたように聞こえるかもしれません。ところが、お腹はたぷたぷになっても、腹にたまるものはなかったのか、青虫は満たされないものを感じていました。青虫は自分の中の食欲が抑えきれないくらい膨らんでいくのを感じていました。
土曜日、青虫が食べたものは何でしょう。自分でも覚えていないくらい手当たり次第に食べたのです。
チョコレートケーキ。
これは今まで食べたものの中で一番あまく完成された食
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