青虫/木屋 亞万
た食べ物でした。とろけるようなクリームとふわふわのスポンジ、かりかりで甘いチョコレート。都会の街のように洗練された見た目とは裏腹に、蒸し暑い森の奥で果実をすすっているような野性味のある風味もするのです。
アイスクリーム。
これほど、とろけるようにあまくつめたい食べ物を青虫は知りませんでした。おとぎ話の王子でも食べたことがないような摩訶不思議な食べ物でした。トロントロンと舌にあたるだけで溶けていくのです。青虫はその舌触りのとりこになりました。そのミルクの氷菓子に練りこまれた黒い粒からは甘い香りがして、いつまでも食べていられる気がしました。
ピクルス。
さすがに甘いもの、油の多
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