きらめくものたち/由比良 倖
 

空には穴が空いていて「許して、」の声が木霊になって落ちてくる、

……最近お風呂に入りながら霞むみたいな息で呟いている、歌う、宇宙が、
  歌っている、「消えていけたらいいのにね」っていつも言いながら、
  親指に薄い、べっ甲柄のピックを付けていて、そしていつも一日は、
  赤で終わる予感に充ちている。

青い雲の向こう側に手を伸ばす、私はここの先住民、
子どもたちの声には夢が滲んでいる、その声の余韻が耳の奥で震えている、
私は、浅い夢をみぞおちの辺りに抱えながら、どこまで帰ろうか?、と
帰る場所のことばかりを、もう今は、考えている。

……

私は、生き残ってしまっ
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