タイトルを持たない、/パンジーの切先(ハツ)
いるひとだった。祖母は親としてはひどく未熟で、母は祖父と祖父の母に育てられてきたという。でも私は祖母が好きだった、まだ幼い子どもだった私からみても人として未熟なところは多々あった人だけれど、私は祖母には気を遣わなくてよかったし、祖母は私をとにかく甘やかしてくれた。庭でたくさんの花を見せてくれる祖母、西瓜を畑にぶつけて、来年もここに西瓜がなりますように、と二人で手を合わせて笑った。母がさみしい子ども時代を送ったことは、本人から何度も聞いて知っている。祖母はあきらかに親向きの性質、能力の持ち主ではなかったし、でもお見合いで祖父と結婚し、母を産んでしまったのだから仕方ない。母は子どものときに、ふつうのお
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