幸福論/英田
しおそろしい。けど、このおそろしくてくるおしい気持がわたしにはよいものにおもえる。だから、わたし、恋をしに行く。
JRの小さい駅で恋人を待ちます。駅前のベンチに座ってお弁当が入った麦わらのトートバックを膝にのせてロータリーを走り回る車を見ている。電車が到着するごとに、たくさんの人が改札口から出てきてバスに乗り込み運ばれていく。腰をおろしているベンチは乗車場の傍にあるので彼らはわたしの前を通り過ぎていってしまう。わたしはそこで耳にイヤホンをつけてPOPsを聞きながら彼を待つ。
わたしはラブソングばかり聴く。ラブソングよりほかに知らないかもしれない。POPsのラブソングではだいたい
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