虚空――(この詩は芥川龍之介の『蜘蛛の糸』とは無関係です)/積 緋露雪00
けなくなり。
やがてその金色に輝きし白糸は群衆の重みに堪へきれず
ぷつんと切れをり。
吾内心ざまあ見ろと快哉を挙げるなり。
すると大日如来が顔を虚空よりにょいっと地獄に突っ込みて
大口を開けては嚔(くさめ)をしたり。
幸ひに吾はその息に飛ばされず
しかし、他は全て吹き飛ばされをり。
吾の立ちしところが幸ひしてか
吾の左右(さう)にはカルマン渦が出来をり。
さうしてそのカルマン渦は一つになりて旋風(つむじかぜ)へと成長したりけり。
初めカルマン渦は共に逆回転なりて旋風は弱まりけりが
大日如来がふいっと息を吹きて旋風は成長したり。
やがて旋風は吾を呑み込み竜
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