いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
ある町のショー・ウィンドー(それはインテリア・ショールームなのでした)のなかに、果林はひとつの言葉を見つけました。「ハートフル・アート、アートフル・ハート」それはすぐに、わたしたち二人の音楽になりました。
果林は、わたしが手にした楽譜帳のうえに、その流れるようなメロディーをするすると滑らせていった。
まるで殺人事件のような(と、果林が言ったんです)それは、心地よいアンダンテでした。にっこり笑ってみせた彼女のことを、わたしはすこし恐いと思いました。
そして、それから、──そう。
二人は店のなかへ。
「なに?」
「中にはいっちゃえば。ね、そのほうが書きやすいし」
「これ、ここで仕
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