いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
 
で仕上げるの?」
「今すぐ仕上げてよ。ね、お願い」
「そおね。茜さん、言い訳してね」
 それを、わたしはさいしょの作品に、果林が世の中に聞かせるはじめての曲にしたいと願っていました。
 じじつ、果林もそのことを望んでいたと思います。彼女ははじめて積極的に、じぶんから曲を発表したい、という気もちになりかけていたんです。そして、それがどんなオリジナルな方法なのかも、わたしは知らずに。
「茜さん、仕事探さなくていいの?」
「なに、急に」
 樫のテーブルに頬づえをつきながら、果林が聞きました。
「だって首になったんでしょう」
「だって、首になったよ」
「ばか」
「……」
「ふざけて
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