いんとろだくしょん&アレグロ?/朧月夜
 
愛せなくなってしまうのじゃないかしら。人間としての尊厳はどうなってしまうんだろう?
 ……
 そんな問いかけが、黙って見つめるしかない、わたしと果林のあいだで何度も往復しました。
「ねえ、あのときの気もち、茜さん、今でも覚えてる?」
「分からないの。……あのときも、分からなかった、だから。今も」
「そんな。かるい気もちでわたしと寝たの?」
「寝ることがよかったわけじゃない。ねえ、分かるでしょう。あのとき」
「分からないって言ったくせに」
 それだけが、二人のあいだではじけ、果林がわたしをなじった言葉でした。


 風に吹かれるまま、わたしたち二人は歩いてゆきました。
 ある
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