鏡の中の鏡――アルヴォ・ペルトに寄せて/積 緋露雪00
それがたったの一音であったりと
ぼんやり聴いてるゐると聴き逃してしまふ
小さな小さな差異なのである。
しかし、実際、時間といふのはさういふものであった筈に違ひない。
遙か昔に日常を必死に生きてゐたものと
AIを駆使しての
便利になればなるほど忙しくなる現代人の日常を比べると
その差異は時間を発掘することであるかもしれぬ。
日常が皮袋にぴたりと張り付いてゐた遙か昔の日常は、
一日の時間が最小単位で、
そこに季節の移り変はりを一区切りとして
一年が日常を計る時間の単位であると思はれる。
それが現代では一日が最小単位では悠長すぎるのである。
電脳が光速近い速度で情報処理
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