のらねこ物語 其の二十四「おりん」(二)/リリー
りんは小声で答える
想いを伝えたりして、清さん優しいから、
店でほっこり出来る相手だった私と気まずくなって
困るかもしれない。
そのまま離れてしまうの、嫌なんです。
「うん。分かるよ。けどさ、後悔しないのかい?
何も言わないままで、離れちゃってさ。」
おりんは俯いたまま 返事をしない
二人が話している境内の 一隅にある
石の柱を寝かせた様な二人掛けのベンチ
「あっ、なんだ!こんなところに、猫がいるよ!」
勇次が気配に気付き 首を後ろへ回して立ち上がった
「ほんと!いつからいたのかしら?」
おりんも猫へ 目を落とし眺めるの
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)