のらねこ物語 其の二十四「おりん」(二)/リリー
に優しいのは、妹みたいに思えるから。
上州の旅籠屋に奉公に出て便りの途絶えた妹さんを
ずっと気にかけてらっしゃるから。」
「うん。それもあるだろうけど。それだけかな?
だって、おりんちゃん縁日で会った時、つりしのぶ
提げてたろ。あれって、清吉さんが買ってくれたんじゃ
ないのかい?」
「はい。」
清吉が縁日で買ってくれた釣り忍は 女中部屋の軒に
吊るしてあるのだった
勇次は 俯くおりんの横顔に
ちょっとの間を置いてから こう言った
「おりんちゃんのさ、素直な想いをそのまんま
伝えてみたらどうかなぁ?」
頷かないおりん
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