のらねこ物語 其の十七「金魚の掛け軸」(二)/リリー
る顔は青ざめていた
「はあ?…。えっ!ええッ!」
掛け軸の本紙へ目を凝らす おゆう
なんと そこには金魚鉢に赤い金魚がもう一匹
いるではないか
二匹は向かい合って描かれている
「たしか。…一匹、じゃ…なかった?」
「そおよね。そうだったよねぇ…。ね、ねぇえ、気のせいかも
しれないんだけど。ガラス鉢もさ、ちょっと大きくなってなぁい?
これ。」
「いやだっ!気持ちわるいッ!」
掛け軸をくるくるッ、
丸めて巻緒で周囲を巻いてギュウッ、と結ぶおりん
おゆうも恐る恐る
おりんの手に握られる掛け軸に目をやりながら言った
「衣装箱の
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