のらねこ物語 其の七「裏長屋」(一)/リリー
 
四畳半の間に置かれる布団へ二人が足を入れた途端

 「おお、あっちっちっちぃ!ちくしょうっ、炬燵に食いつかれたあ!」

 飛び上がる浪人の友だち、
 土間へ降りると
 酒の肴になりそうな沢庵でも無いのか と
 棚をのぞく
 すると足元に
 「何だ、この鉢は?」
 ろくに葉も繁っていない つまらなそうな植木鉢

 「ああ、それか。」
  この間、通りを馬に乗り慣れん若造が、馬にしがみついていて
  「おい、危ないじゃないか!何処行くんだっ?」と聞いたら、
  「馬にきいてくれえっ!」とだけ叫んで消えて行ったんだ。

  避けた拍子に転んだ花売りの爺さんを介抱したら、
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