入退院後の日記/由比良 倖
に睡眠薬を一錠だけ貰って、部屋が消灯されて、それから朝食までの12時間が残酷で、何年もあるように思えて、腕時計の針を見たり、常夜灯を見詰めたりしながら、世界の果てで、人知れず生死の中間で苦痛を彷徨っている永遠に孤独な人たちの仲間入りをしているんだなあ、と人ごとみたいに思った。バロウズの小説かエッセイで、収監されたドラッグ中毒者が、ドラッグの欠乏感に「ひたすら耐える」という何でも無いことを、身を以て学ぶ場面が、たしかあった。
「耐える」以外、何ひとつ選択肢が無い状態に身を置くと、絶望でも拷問でもない、まるで自分自身からも閉め出されたような特有の孤独感だけが、生きる感覚の全てになる。気を緩めると狂
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