私が子どもを殺さない理由/佐々宝砂
また少女監禁事件があった。と書いてるあいだにまたあるかもしれない。というよりも、今この瞬間、誰かしら監禁または軟禁状態に置かれ虐待されて辛い目にあってると考えるのが冷静な見方だろう。報道されることだけが事件だ、と考えるほど私は幼稚じゃない。あれはきっと氷山の一角なのだ。
虐待されてる人間は気の毒だ。悲惨だ。なんとかして救われないだろうか、と考えるのは、一応人間として当然である。私とて、まずはそう思う。交番に駆け込んだ少女の「怖い」という叫び声、教会にふらふらと入っていった少女の疲れた様子、想像するとなんといったらいいかわからないくらい悲しい。まずは、そう感じる。いくら私だって、まずはそう感じ
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