青空とレモネード?/朧月夜
女が望めばですが……」
その言葉がヒントになった。僕は決まってレモンをいくつか買って、君のいる病院を訪れた。病棟の手前で看護師を呼び出し、君にそのことを伝えてもらう。何度かは拒絶された。しかし、何度目かからは受け取ってもらえるようになった。
「『レモンを贈ってくださる人がいました』と言ったら、『そうですか』って」
看護師が言う。僕のことは、やはり誰だか分からないらしい。僕も、僕自身が何をやっているのか分からなくなってしまうことがあった。それでも、僕は君のいる病院に通い続けた。今では、僕のほうでも「君を愛していたのでは?」と思うようになっていた。
それが何から始まったも
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