青空とレモネード?/朧月夜
のはちょっと」と、看護師に断られた。
君の元ルームメイトも、時折は病院を訪れているようだった。しかし、見舞いにいくのが土曜日か日曜日なので、僕と鉢合わせることはなかった。彼女は彼女なりに、責任というものを感じていたのだろう。いくら捨て去ったとは言え、芸術というのは彼女自身の領域でもあった。
君に直接会うことは、まだ出来なかった。「歩行も困難な状態ですから」と、看護師は言う。「それに、あなたに会っても誰だか分からないと思いますよ。親御さんのこともまだ思い出していないんです。自分自身が誰かも」
でも――と、看護師は言う。「贈り物であれば、受け取ってもらえるかもしれません。彼女が
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