青空とレモネード?/朧月夜
 
とっては違ったのかもしれない。芸術を共有出来る可能性というものに、人は時として飲み込まれてしまうことがある。君がまさにそうだったのだろう。

「人の心って、複雑ですね……」

「だから芸術も複雑なの」

 今ではもう会計士を目指している、という君のルームメイトは言った。その発言は、その場にあってもビジネスライクなものに思えた。

「ドライですね」と僕は言う。

「なら、彼女を愛せる?」

「分かりません。きっと無理でしょう」

「そうでしょう?」

 僕を納得させるかのように、彼女は言う。それは、彼女が彼女自身に納得させたい思いでもあったろう。

「どうにもこう
[次のページ]
戻る   Point(3)