青空とレモネード?/朧月夜
とっては違ったのかもしれない。芸術を共有出来る可能性というものに、人は時として飲み込まれてしまうことがある。君がまさにそうだったのだろう。
「人の心って、複雑ですね……」
「だから芸術も複雑なの」
今ではもう会計士を目指している、という君のルームメイトは言った。その発言は、その場にあってもビジネスライクなものに思えた。
「ドライですね」と僕は言う。
「なら、彼女を愛せる?」
「分かりません。きっと無理でしょう」
「そうでしょう?」
僕を納得させるかのように、彼女は言う。それは、彼女が彼女自身に納得させたい思いでもあったろう。
「どうにもこう
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