青空とレモネード?/朧月夜
 
ームメイトの絵が飾られていた。君にとってそれらの絵は、いわば見本帳のようなものだったろう。それらの絵を発端にして、それらの絵を根拠にして、君は絵を描いていく。君の絵は、誰にも分からない連作のようなものなのだ。

 そして、部屋の隅には過去の絵が丸められて置かれていた。それは君が経てきた道であり、君が捨て去った過去だった。今目にしなくても気になることのない、過去の遺物。そうして、君は君自身を乗り越えて来た。いわば、それらの作品は砂がすっかり落ち切ってしまった砂時計のようなものだ。今の君にとって、それらの絵はもうすでに必要ない。

 僕は決心する。泥棒のような気持ちはあいかわらずだった。その日
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