青空とレモネード?/朧月夜
を汚しながら絵を描いていたことだろう……。そして、時折はイーゼルを斜面に立てかけて。
その日、僕の気持ちが河原へと向かったのはなぜだったろう。あるいは、その日は珍しく曇り空の日だったからかもしれない。平瀬川の河原に行っても君はいないだろう、という予感が僕はしていた。そうすれば、君だけの世界を邪魔することもない。そして、僕は僕自身の世界に浸っていられる……。
しかし、僕の予想は当たらなかった。君がそこにいて、いつも通りに絵を描いていたからだ。そして僕が声をかける前に、君のほうから僕の姿に気づいたようだった。10数メートル離れた場所から、僕に手を振ってみせる。それはやはり、「知人」に対
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