青空とレモネード?/朧月夜
っても同じことを思っただろう……
君と僕との家は近い。平瀬川の河原に行けば、時折は君に会えるだろう。そのことは分かっていた。ただ、仕事の予定を開けてわざわざ河原へ出向く、ということを僕はしなかった。僕の家へは「安宅橋(あたかばし)駅」を利用するのが近道なのだが、そこから家へは河原沿いの道を使う方法も、別の方法もあった。
僕はわざとのように、河原伝いの道を避けていた。「君に会いたくない」というわけではない。しかし、君だけが持っている、君だけの世界というのを邪魔したくなかった。季節は初夏で、一面に晴れ渡る日が続いていた。君はやはりスカートの上に直接キャンバスを乗せて、自分の服を汚
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