青空とレモネード?/朧月夜
そのころに「レモン」という曲が流行っていたせいかもしれない。スクイーザーも持っていないのに、僕はスーパーで見かけたレモンを1つだけ衝動買いしてしまった。
しかし、それは僕にとってはまさに幸運だったと言って良いだろう。さっき言ったように、僕は39度の熱を出して起き上がるのも困難だったからだ。僕は這うようにして台所に行き、冷蔵庫の中身を調べた。食べられそうなものは、そこには入っていなかった。1個のレモンの他には。災害時の非常食なんかも、僕は用意してはいない。
熱に火照った体は、動くたびにあちこちが痛んだ。外へ買い物に行くことなど、出来そうになかった。
(夜には仕事があるのに……)
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