りゅうのなみだ/はるな
校庭のいちばん端、フェンスのところにはノブドウとヘクソカズラが生えてた。ノブドウはとくに実がきれいなので特別に思ってた。裏庭のどくだみが茂るところは一部分高くなってて、そこに立つとちょうど図工室が中までみえた。小学校の図工室にしかないあの重たい木の椅子がごろごろ所在なくしているのを。夏になればプールに続く外廊下の端とプールサイドにヨウシュヤマゴボウが生えだして、赤くなるまで待てないで実をむしっちゃうんだね。
それは思い出で、でもいくつも転校するたびついていったむすめの小学校でもたいていそんな感じ。校庭の砂をさらさら捲って透明の粒を集めて「これはりゅうのなみだ」っていうのは知らなかった。土地の言い
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