青空とレモネード?/朧月夜
 
い、ということにはすぐに気がついた。

「邪魔しちゃった?」と、僕は君に声をかけた。

「違うの。集中出来ないのよ」――「空が青すぎて」

(意外なことを言う子だな)

 というのが僕の感想だった。君の言葉は、「太陽がまぶしすぎて殺人を犯した」と言った、ある小説の主人公のように唐突で理不尽なもののように思えた。「青空を描いているのなら、空が青すぎて困ることはないじゃないか」と、僕は思う。そして、

「空の絵を描いているんだろう?」

「そうよ。空の絵を描いているの」

「じゃあ、空が青かったら良いじゃないか」と、僕。

 君は僕の放った言葉に、なんだかあっけにとられ
[次のページ]
戻る   Point(5)