青空とレモネード?/朧月夜
い、ということにはすぐに気がついた。
「邪魔しちゃった?」と、僕は君に声をかけた。
「違うの。集中出来ないのよ」――「空が青すぎて」
(意外なことを言う子だな)
というのが僕の感想だった。君の言葉は、「太陽がまぶしすぎて殺人を犯した」と言った、ある小説の主人公のように唐突で理不尽なもののように思えた。「青空を描いているのなら、空が青すぎて困ることはないじゃないか」と、僕は思う。そして、
「空の絵を描いているんだろう?」
「そうよ。空の絵を描いているの」
「じゃあ、空が青かったら良いじゃないか」と、僕。
君は僕の放った言葉に、なんだかあっけにとられ
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