青空とレモネード?/朧月夜
 
 僕は君のことが気になった、と書けば、それは本当でもあり嘘でもあるだろう。僕はその日は徹夜明けで、そのことが僕を寛大な気持ちにも大胆な気持ちにもさせていた。僕はふと君のことを目にとめた……それが「事実」だ。

 事実以外のことを書くのは難しい。僕は決して君に恋をしたわけではなかったし、それが僕たちの関係を「そんなふうに」と書かなくてはいけない理由でもある。ただ、しばらくの間僕は君の後ろに立って、君の描く絵を見つめていた。

 君の描く絵は変わっていた。そこには、空しか描かれていなかったのだ。

(空だけの絵?)

 と僕は思う。

(いやいや、まだ未完成なんだ)

 と僕は
[次のページ]
戻る   Point(5)