水の行方/ホロウ・シカエルボク
っていたに違いなかった。治らない病気か何かで、死期を悟って、誰にも会わないで死ぬためにここへ来たのだ。まるで野良猫のように―どんな人生だったのだろう。ただ平凡に生きてきた自分と、使われていない水路の終わりで死んだ彼女。私と同い年の。私はなにか、とても心許ない、寂しさとか切なさとか言えるような気持ちでいっぱいになった。幸せな人間が選ぶ死に方ではない。きっと彼女はそれを選択するしかなかったのだ。人生のあらゆる場面で、諦めるしかない選択肢を切り捨てて生きてきたに違いない。それはきっと間違いではないだろうという気がした。私はきっと彼女と同じように、そして彼女とは全く逆の、生きるという選択肢を仕方なく選んで
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