水の行方/ホロウ・シカエルボク
 
んできただけなのかもしれない。でもそう思うのはのほほんと生きてきた自分の傲慢なのだという気もした。私はいたたまれなくなってそこを逃げ出した。背中でずっと誰かが私を見つめているように感じていた。水路は長く、荒れ果てていて、ただただ寂しかった。私はいつの間にか走り出していた。幼い頃、人混みの中で両親とはぐれた時のことを思い出していた。私はずっと迷子だったのだ。子供のように声を上げて泣き出したくなるのを堪えて走り続けた。生を選ぶ人間は傲慢なのだ。そんな人間がこの場所で涙を流したりしてはいけないと思った。街は遠かった。誰か人の声が聞こえる場所に行きたかった。頭の中でたくさんの機械音がした。不調がまた私をと
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