水の行方/ホロウ・シカエルボク
 
見当たらなかったし、あったとしても山を半周する形で流れている川があるのだからそこから水を引けばいい。こんなところに水路を引く必要はないはずだ。なにかしらの施設を作ろうとして、計画が頓挫したとか、そんな事情があったのかもしれない。なんにせよ、いまそれを確かめる術はなかった。水路の終わりに溜まった落葉が、ちょうどうつ伏せに倒れた人のような形をしていた。それを見ていると不思議なくらいひとりの人間がそこで死んだのだということが納得出来た。私はそこにしゃがみ込み、彼女の最期を写し止めるように降り積もった落葉を眺めた。そして、どうして彼女はこんなところにやって来たのだろうと改めて考えた。自分が死ぬことを知って
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