水の行方/ホロウ・シカエルボク
い年だったせい。そんなところで一人ぼっちで死ぬのはどんな気持ちだろう、と私は記事を読みながら妙に入れ込んでしまったものだった。誰もがのんびりと歳を取って幸せに生きて行けるわけじゃない、そんなことはもちろんわかっているけれど、その女性の死に方は私の心に強い印象を与えたのだ。とり憑かれたのではないかと思えるほど、しばらくの間私は彼女のことを考えていた。もしも時間の余裕があったなら、私は真っ先にここを訪れていたに違いない。そんなひとときの執着をすべて忘れてしまった今になって偶然その場所に辿り着くなんて奇妙な話だった。そうだ、この水路の終わるところ、行き止まりになっているその場所で彼女は死んでいた。私はそ
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