水の行方/ホロウ・シカエルボク
るだけだった。そんな街で見るコンビニエンスストアはなにか突然変異で生まれた異物のように見えた。小さな中心地はすぐに歩き終えてしまい、中毒のように新しい景色を求めていた私は街の北にある小さな山を登ってみることにしたのだが―登山道だと思っていた道は実は道ではなく、枯れた水路のようなものだと気付いたときには随分遡ってしまっていた。水路。隣町にある枯れた水路。何かが私の記憶をくすぐった。十年くらい前だろうか、この水路で身元不明の女の死体が見つかったというニュースがあった。当時喫茶店でたまたま手に取ったローカルの新聞に載っていたのを思い出したのだ。そんな些細なニュースを覚えていたわけは、その女性が私と同い年
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)