水の行方/ホロウ・シカエルボク
った。仕事と買物以外あまり出歩いたことがないこの街を、歩き尽くすくらいの勢いで毎日歩こうと考えた。健康にも良さそうだし。自分の歩いた道を記録出来るアプリを導入して、私は毎日自宅の周辺を歩き倒した。それはとても楽しかった。初日はすぐに疲れて止めてしまったけれど、三日もするとすたすたと果てしなく歩けるようになっていた。三週間目には自分の住む街のほとんどを歩き尽くし、私は新たな知らない景色を求めて隣町まで脚を伸ばすことにした。
隣町はあまり大きなところではなかった。都会と都会の中継地点という感じで、小さなビジネスホテルと一軒の本屋、それから喫茶店が三件、あとは潰れてしまった商店が幾つか並んでいるだ
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