水の行方/ホロウ・シカエルボク
て気づいた。それから一時間くらいじっとしていると眩暈はおさまった。元気なうちに家に帰らなければ。私は一番近い駅に飛び込んで帰宅した。
三日もすると自由な日々は退屈になった。そもそも私には趣味というものがまるでなかった。週末の休みは溜まっていた洗濯や掃除、休日でしか作れない手の込んだ料理に精を出してばかりいた。だから、何もしなくていい自由な時間に、何をすればいいのかということについてはまるで詳しくなかった。私は常に動いていたい人間だったのだな、とその時初めて気が付いた。どちらかというとのんびり屋だと考えていたから。のんびり屋はのんびり出来ることに疑問を感じたりしない―多分。散歩に出ようと思った
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