水の行方/ホロウ・シカエルボク
をとらえようとしているのがわかった。それでも私は走り続けた。ようやく水路を抜けて、街の端っこに差し掛かった時、プツンと頭の中で何かが切れて、その場に倒れ込んだ。
道端に倒れていた私は通りがかりの誰かによって介抱され、救急車を呼ばれ、意識が無かったため担ぎ込まれた総合病院でそのまま精密検査を受け、数百人に一人という珍しい病気にかかっていることがわかった。病院にはたまたまその病気に詳しい医師が一人居て、原因を特定するのにさほど時間はかからなかった。ひと目見ただけで見当がついたそうだ。翌日私は意識が戻り、非常に危ない状態だったと告げられた。でももう大丈夫です、と笑うその医師を見ていると、きっと本当
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