水の行方/ホロウ・シカエルボク
長く勤めてくれたしウチとしても胸の痛む結論なのだが、無理を強いることも出来ないし今以上仕事が溜まりがちになるならすぐに働いてくれる人が欲しいんだ、御尤もな理由だった。仕事のことは私も気になっていたし、退職金も少し多めに払ってもらえるし、あとひと月半残っている有休もすべて消化して退職してくれ、とのことなので、心置きなく身体を休められるならと私は何の文句も無くそれを受け入れた。残念だが仕方が無い、いままで本当に有難うと社長は嘘の無い調子でそう言ってくれた。私はもうそれで充分だった。私物は特に置いて居なかったので、机はそのまま他の人に渡してもらって構わないと私は言った。事務室には寄らずにそのまま会社を出
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)