Lの昇天?/朧月夜
 
もあらかじめ決まりきったもののようだった。街の中にいる以上、人は何かをしなければならない。街の中にいて、何もせずにいるということはホームレスにだけ許された特権だ。そして、この街にホームレスは少ない。

 Lの目の前には、点滅する青と赤の信号が存在していた。それは何か、自己の存在をアピールしているもののように思える。「生きようとしている人々」にとって、それは何かの意味を持つのだろう。しかし、今のLには点滅する信号が抽象画か何かのように感じられた。存在することで存在している、それ以外の意味はない。

 そして、地下鉄の駅へと降りていく人々。移動にも何かの意味がある。帰宅するために、仕事へ行くた
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