Lの昇天?/朧月夜
 
くために、娯楽に出かけるために、人は移動をする。つまり、そこには目的があるのだ。目的がないものは、地下鉄にも乗らない。



*Lは街の中を歩く


 Lは歩き出す。何かへの反抗心からでもなく、何かへの従順な心からでもなく、ただ目的がないということのために。

 Lはまず、北へ向かって歩いていく。北は「死」をイメージさせる。「極北」という言葉もある。北は誰にとっても因縁めいたイメージを残すものだろう。この期に及んで自分が求めるもの――というのを、Lは皮肉に感じていた。

 アーケード街を歩いていると、人の数は増えた。銀行、ラーメン店、ダイニング・バー、喫茶店。今さらの
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