Lの昇天?/朧月夜
れが今は恥ずかしくもなく、ましてや誇りでもない。
この世の何割かの人間は貧しさの中で生きているし、この世の何割かの人間は豊かさの中で生きている。その中間で生きている人間もいるだろう。自分もそのうちのたった一人だと、Lは思う。生きることに理由はないし、同様に死ぬことにも理由はない。
自分が物語の主人公だったら――と、Lは考える。主人公が死のうとしている場面から始まるような小説は、そう多くはない。今思いつくのは、パウロ・コエーリョの「ベロニカは死ぬことにした」くらいだ。その小説も、最後は主人公は救われてしまう。きっと、今の自分なら違った結末になるだろう。
(わたしには先というもの
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