Lの昇天?/朧月夜
かった。空は全くのグレーで、そこに吸い込まれてしまいそうに思える。そう、小説の主人公が昇天してしまったように、Lは死にたいと思っていた。理由はない。ただ何となく、という理由でそうしたかった。
(小説の主人公のようにこのまま天に昇れたら)
と、Lは考える。しかし、それは「死」だろうか。あるいは「死」ではないのかもしれない。あくまでも、Lが望んでいるのは生命を絶つことだったから。
そのことにも理由はない。生活には満足していたし、それなりに暮らしていけるだけの貯えもある。Lは実家に住んでいるから、今どきの若者たちのように日々の稼ぎで苦労することもなかった。苦労知らずの自分――それが
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