メモ1/由比良 倖
たらいいなと思う。僕は大きな世界に住んでいる。いろいろな人がいる。僕は今は、少しくらい軽蔑されても、別にいいやって思っている。僕は立ち上がって、隅っこの方で打ちひしがれていて、今にも窓から飛び降りてしまいそうな人に、泣きそうな表情ひとつでも送れるような人になりたい。笑みなんて押しつけがましすぎるから、この世には他の手がある。死にたがりの僕として、誰かと心中してもいい。けど、それもまた傲慢で、もっとずっとましな方法があると思う。世界の端で、僕は書いている。もうひとつの世界の端で、怯えている誰かに、秘かに送れたらと願いながら。
1.2
世界は無色で無音だけれど、決して味気ない訳ではない。
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