feelin' bad blues/中田満帆
 
 田園のなかでブリッジミュートを鳴らしつづけていた男がうごきをとめ、
 河べに立ちながら永遠ともおもえる時のなかで鳥を眺めている
 かれが悲しみの澱みたいにおれには見える
 それはこの十年ものあいだ眠っていたおれのなかの慈愛みたいなものなのか
 ともかくおれは早めに切りあげて河をあがった
 石を探すにはこの河べはよろしくない
 だれかが水切りをする音、
 そして最後の暗殺
 どれをとってもなにを見ても変わらないおれのなかの澱
 その澱を鎮めてくれるひとをおれは求めつづける
 この静寂、そして感傷
 惨めったらしいこのおれを救抜するひとを
 おれはいまも求めている
 杭がい
[次のページ]
戻る   Point(4)