フードファイター/アラガイs
 
笑いを浮かべ、後ろへトボトボと退いて行った。

広い机には大鍋にはレンズ豆のシチューが渦を巻いていた。荒れた石畳の上にはいい香りが漂っていた。
チキはその匂いを深く大きく嗅ぐと、あたまには故郷の透き通る海と雑木林、岸壁から見える小さなヨットが浮かんでいた。
彼らのもらう順番がやってきた。
その後ろで、5〜6歳くらいだろうか、薄汚れたワンピースに伸ばしっきりの紅い髪をした少女が陶器を持って、まだかまだかと覗き込んでは指をくわえて待っていた。
その姿を見たチキは被っていたソフトキャップを捻り上げてマタに向けて言い放った。

(チッ!おい、マタよ、こんなとこで食っても仕方ないぜ、ゲストハ
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