フードファイター/アラガイs
トハウスに戻って一杯やるか! よ、おねーちゃん、どうぞ!オイラたち行くから‥‥)
チキはフトコロから札束を取り出すとテーブルの上に置いた。バサッと重い紙の音がした。そして後ろにいた胡桃色の眼をした少女にも何枚かの札束を手渡した。少女は驚いて後ずさりしたのでそれをマタタビがワンピースのポケットに突っ込んでやった。
振り返りはしない。チキは麦わら帽子に何故か厚めのレインコート。その脇下ポケットには玩具のピストルが、リズムを打っては揺れていた。
(あれれ! 旦那〜マテガイの兄貴〜チキさあん、待ってくださいよう〜)
コネコのマタタビはチキの後をショボショボと追っていく。
(‥ちょっちょっと、お二人さん!)
何が起こたのか、呆気にとられていた黒エプロンの女性は我を取り戻し、その札束をグッと掴むと直ぐに二人組を追いかけたが、その姿はもう人混みの中に消えていた。
終わり。
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