枳の花──ユウコのために/中田満帆
も年上の男とつきあい、
まわりを子供だといっていたね
ぼくはそいつを聴いて
たまらなくなった
斑鳩のように飛んでしまうなにかがぼくのなかで芽吹き、
梨の木のように落雷とともにして深夜の庭で、
裂きひらかれてしまいました
枳はひどく甘い匂いがする
ぼくはその匂いがきらいなんだ!
なんだってきみに惹かれなくていけないんだ!
倒木のまわりを這いずり地栗鼠のような、
滑稽な仕草がぼくの心を掠めとって、
あたかもぼくが罪深いなにかのようにして、
天神の丘に嬲られた救いがたい孤立者を投影しつづける
ぼくはきみの友だちのチエミとばかり話をしていた
なん
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