出生後のはなし/万願寺
 
どった。それで、ああ醜いなということが誰の目にもわかるようになったので、わたしたちはきみを受け止めた不幸な人間の顔をすることができた。

そのあとに、私が落っこちてきた。今度はかれらは早めに手を差し出した。経験というのはばかにできない。迷うまもなく差し出せば、評価が上がるから。私を這って成長した静物的植物は、グラデーションのうつくしい、うすみず色の花を咲かせ、たいそう愛でられた。花が散り、いつまでも実がつかないことに、人々は疑問をいだかない。

金の花を咲かせられなかったきみは、私の薄水色を眺めて言った。自殺するから。と。自殺することなんてできないと私にはわかるが、きみがそう言いたいのだと
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