シガレットココア/あらい
女々しいな、むっとした香りを嗅ぐ抑揚のない背後からの視線、いつになく。わっとおもわず声もあげない空模様、病かな、歴史かな、空席に鬱憤が溜まっている。手がこんでいる、ひたむきに、汚らしい口を覆う、だまって放っておいて。退屈しのぎにはなしかけてみては、やっぱり紛らわせることもできない。なんともやりきれない一日が、話題もない慎ましやかなときが、なんでも狂気なような気さえする。髪をかきあげてみれは、やはりなんとも、まごついては、マグカップの湯気が冷めた目付きでルージュを啜っている。
絆と言うにはもろくゆるくすぐにバレるような嘘をつく、ピストルに擬態した鳥の鳴き真似が、伝統芸。朝方になっても盛んにして
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