完備 第二詩集『mirage』/完備 ver.2
らこぼれ
あなたと
わたくしの隙間を漂うのです……
擦り切れた脳みそで
愛を 告げようとしても
禁煙に失敗したあなたの
吐く煙の匂いに
くらくらして上手く できない
trace
満員のバスに
押し込める体の
内側で
すこし壊れるたましひ、
これは本当に
きみに抱かれるのと同じ
体か
曇る眼鏡
街を打つ、
倫理的ではない雨
知らない人の手が
ピアスを掠めて
最後に痴漢された日から
思い返す、今日まで
たとえば、換気のために
すこし開いた窓から
スマホの画面に降った雨粒がレンズになって
白い画面から赤や緑を
分光する
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