完備 第二詩集『mirage』/完備 ver.2
先で逃げた
コンクリートを砕く音から
祈るような食事へ
河川敷のおそろしいみどりと
まぼろしのような怒りに
狂いながら暮らすしかないのか
twilight
子どもの私の写真
の、写真を
何度 撮ってもブレる
二〇二〇年八月
屋根裏に映写機、
踊るひとのシャツが
うつりゆく柄物になる
ひとが切り
り 抜かれた面
対面、
やわらかな暗がり
回折するphoton
それぞれを撮るひと、また、ひと。
彼ら・彼女らの胸に
気泡が弾けつづけ
右腕に落ちる水。手の甲のにおい。まぼろしに濡れる眼鏡をシャツの
裾で拭くたび、幾層にも
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