読むことのスリル──ひだかたけし小論(9)/朧月夜
しょう。2019年12月に書かれた、「疼痛宿痾」(*1)という詩です。
生きているから痛いのさ?
そんな生半可な答えでは納得せぬ
生きて生きて死んででも
千年万年かかってでも
この宿痾の根源
必ず突き止めてやる受け止めてやる
この詩は、氏の創作のなかでは、必ずしも良作とは言えない詩です。そして、ここで「良作とは言えない詩」を取り上げたことに、わたしは初めてほっとしています。というのは、わたしの目的は氏の全人生の肯定ではなく、詩人生の肯定であるからです。実はこの詩も改定されているのですが、わたしはこの改定は無効にしたいと思います。氏は、初出に
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