読むことのスリル──ひだかたけし小論(8)/朧月夜
 
小説のように、面白さをもって判断されるものではありません。「読者をあっと言わせること」が、詩の醍醐味です。人は、鮮烈な詩に出会ったとき、それを書いた詩人、あるいは詩そのものに共感します。そこに例外はないと言えるでしょう。読者は「自分の思いを代弁してくれている」、または「そこに自分が目指すべきものがある」という点において、一篇の詩に共感するのです。
 ここに挙げた二つの詩は、現代詩フォーラムでも比較的評価の高かった詩です。わたしはポピュリズムに迎合するものではなく、むしろ評価の高い詩には反発を覚える、という性向があります。わたしが、氏の詩のなかから、あえて評価の高い詩を選んだのは、わたし自身の労力
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